SOP研修【小野寺・門脇・作山・本間・富樫・森】

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  • 2022.07.11|森佑季

SOP研修とは

日程:2022.05.20~22

場所:群馬県

コンセプト:『温故知新』

【1日目】

作山・小野寺は一足先に那須塩原へ現地入りし、黒磯駅周辺を散策。

平成26年の都市再生整備計画に基づき計画された「みるる(那須塩原市図書館)」「くるる(那須塩原まちなか交流センター)」を見に行きました。

「みるる」は町に開かれた角度で設置される巨大な本棚と、それを覆う屋根で構成された建築です。棚のモジュールに入れ込んだ建具や覗き窓・図書閲覧用のくぼみ、空調設備吹き出しなどの徹底した工夫が「本の森」のような空間を作り出していました。

「くるる」は建物の向こうまで見渡せる、高く薄い屋根によって覆われた屋外/屋内広場のような建築です。高い屋根と、周囲を囲うカテナリー曲線の低い屋根は空間の開放感のメリハリをつくり、多用途に使える空間でありながら居心地のよい場所を選べる場所として計画されていました。(作山・小野寺)

 

【2日目】

2日目は、前橋から富岡市内に向かいました。

1か所目に見たのは、前橋公園の一角にある「臨江閣」です。明治期に建てられた迎賓館で、国の指定重要文化財に指定されています。車寄せの付いた建物正面の荘厳な外観や、別館2階の150畳もある大広間など、迎賓館ならではの立派なつくりが見られました。

次に富岡市内に向かい、富岡製糸場・上州富岡駅・富岡市役所・富岡商工会議所を回りました。

世界遺産に指定されている富岡製糸場は、2020年に敷地内の西置繭場が改修されたこともあり、多くの観光客が訪れていました。

西置繭場は、ハウスinハウスという最新の技術により改修が行われています。鉄骨と強化ガラスにより耐震補強をしながら、国宝としての価値を損なわないように施設の活用がされています。(森)

富岡製糸場から北に10分ほど歩くと上州富岡駅があります。

積み木のように積まれたレンガの壁と上部を南北に通り抜ける白い屋根が特徴的です。

レンガ壁と鉄骨造の組合せは木骨レンガ造の富岡製糸場の読み替えで、木ではなく鉄骨を使用したのだとか。レンガ壁の方は富岡製糸場と同様にフランス積みになっています。レンガを使用していますが風景に重さを感じることはなく、正面のロータリーにも開放感のある「ひろば」のような空間でした。また、壁が階段状になっているので、低い部分には座れるというのも交流が生まれる要素になりますね。

富岡市役所と富岡商工会議所は残念ながら閉館日でした。。。

外側だけでしたが、町に馴染んだいい建築でした。次はリベンジしたいです…!(本間)

 

【3日目】

3日目は敷島のパン屋(前橋市)と天神山のアトリエ(高崎市)をメインに見学しました。どちらも群馬県に拠点を構える生物建築舎の設計です。

敷島のパン屋は利根川と敷島公園に挟まれた、緑豊かな場所にあります。藤野さんのお話を聞き、敷島のパン屋含め天神山のアトリエ、S市街区計画、上毛新聞住宅展示場など様々な作品に共通して感じたのは、敷地:郊外の均質化した風景、ロードサイドに対するささやかなアンチテーゼが秘められていることでした。例えるならば、町の中を歩いていてふと現れる鎮守の森のような、町に馴染みながらもどこか聖域的な空間をつくられているなと感じました。敷島のパン屋は、とても背景的な建築です。敷地にあった一本の木を手掛かりに、その木陰の空間を軒下によって拡張させてあげる、ただそのためだけの建築であり、イートインの空間等は設けられていません。軒下、木の下でパンを食べながら過ごす時間はとても幸せなひとときでした。(富樫)

天神山のアトリエはRC造ワンルームの事務所です。内外を隔てるのは180mm厚のRC壁のみで、天井は全てガラスになっています。地面には真砂土を敷き詰め、人が歩く場所はセメントを混ぜて突き固められており、事務所の中にはレモンユーカリを始めとした100種類を超える植物が植えられていました。室内には鳥が巣をつくり、雛を育てているそうです。

移り変わる日差しや気温、木々の影に包まれた室内はまるで外にいるかのようでした。外で活動をするのではなく、室内に外環境を取り込むことが重要なのだと考えます。五感が研ぎ澄まされ、自分の中身が室内に開放されていくような感覚を覚えました。

主宰の藤野さんとは様々なお話をさせていただきました。設計への思いや根源、原風景や学生時代に考えていたことなど、話は多岐に膨らみ、予想していた滞在時間を大幅に超過してしまいました。自身の今後に活きる貴重な時間だったと思います。

天神山のアトリエは竣工から11年が経過しましたが、いまだ鮮麗な雰囲気を感じます。無機物と有機物の共生、常に移り変わる植物を纏うことによる新陳代謝によって、この建物は生きているといってもいいのかもしれません。時の流れに抗うのではなく、一緒に成長していく建物の存在感を強く感じます。

温故知新というテーマについて、故と新の境界を考えさせられました。古い建物新しい建物、その境界はどこにあるのでしょうか。おそらく、そのどちらにも当てはまらない建物が圧倒的に多いのだと思います。植物という要素によってその境界をぼかす手法は大変興味深いものでした。(門脇)