
昨年、機械設備設計としてこの関・空間設計に入社し、初めてのSOP研修です。
-大空間の中に様々な居場所がある建築- をテーマに、建築巡りをしてきました。
どのような居場所が人々に好まれているのか。意匠的な要因・仕組み的な要因・環境的な要因⋯⋯
そんなことを考えながら3つの建築を見学した記録です。
副題として、国内の最前線で環境建築に取り組まれている小堀哲夫氏、荻原廣高氏の関わったプロジェクトを追う旅でもあります。
初日は岐阜県岐阜市へ向かい、みんなの森 ぎふメディアコスモスを訪れました。
2階がワンルームの構成になっており、その中に「グローブ」と呼ばれる象徴的なカサや入れ子状の小部屋が多数配置され、様々な居場所を形成しています。グローブの直上にはトップライトがあり、メッシュで光を和らげて室内に取り込んでいます。
トップライトの径よりグローブの径が大きいことで、太陽高度の高い季節の直射光が床面に落ちないことが一つのミソではないかと推察されます。


外周面に配置されたデスクと方位の関係にも、細やかな配慮を感じました。
開館時間中に直射光の影響を強く受ける南面と西面は、窓面からの離隔を広めにとっています。
一方で東面と北面にはカウンターデスクをずらっと並べ、自然光による落ち着いた学習環境を形成しています。
この日はGWの曇天日だったので万遍なく人が座っていましたが、真夏になると人気の席がまた変わってくるように思います。
( 左上・右上:南面、左下:東面、右下:北面)




各所に配置された小部屋には名前が付けられ、有効に活用されていました。
入れ子状の小部屋は空調・換気の系統分けや機器類の隠し方が課題となることが多いですが、うまく解決され、一つの箱が置いてある雰囲気は崩れていません。


二日目にまず向かったのは、愛知県名古屋市に昨年開館した 東海国立大学機構Common Nexus (ComoNe)です。
まさしく「地面をめくりあげた」という表現がふさわしい外観をしています。


地下1階がワンルーム構成になっており、地上から透明の箱を押し込めて土をくり抜いたような部分が複数配置されています。この箱が地下への採光部となり、緑化され、屋根上への動線にもなります。

多くのスペースは一般開放されていますが、利用者の大半は名古屋大学の学生と見られました。
ひとつとして同じ形状の学習空間はなく、好みに応じて座席を選べるようになっています。
この日の名古屋は最高気温が28℃と、5月初旬としてはかなりの暑さ⋯⋯
ですが半地下かつ直射光の入らない形状のためか、温熱環境は非常に良好でした。冬場はどうなるのかも気になるところです。
全体的に照度も低めに設定されており、それが「半地下感」や「おこもり感」を感じさせて落ち着いた空間となっています。明るさや開放感が全てではないことを体感しました。



最後は同じく愛知県名古屋市の名古屋造形大学へ。
こちらは一般開放エリアが限られており、屋外空間のみ見学してきました。
大きな屋根の下に小さな箱が点在している様子は、前述の2物件とも近いものを感じます。
中央の屋外通路は「アートストリート」と呼ばれ、通り抜ける風の心地よさが印象的な空間でした。
内部を見学できるキャンパスツアーも開催されているようなので、いつかまた訪れたい建築です。



コロナ禍をきっかけに、多様な居場所の中から好みの場所を選んで働く・勉強をするという文化が加速したように思います。
好みの場所に選ばれる一要因として、温熱環境や光環境、通風環境が重要であることを改めて認識する研修となりました。



